*あかねのイタリ珍プレー*



球目うはぎ

私が好きなお肉でランク付けをすると

1位:羊のお肉

2位:兎の肉

絶対こう言うと「え〜〜!美味しいの!?」って聞かれる。

いや、それ以前にどこで食べるのか・・ということになる・・・。

もちろん日本での話ではない、イタリアでの話しだ。

というか、ヨーロッパはけっこう兎の肉や鳩の肉を食べる。

イタリアに渡る前からその事を知っていたので、どちらかのお肉は挑戦したいな・・とは思っていた。

しかし、残念な事に私が住んでいたミラノには、お肉屋さんでも兎の肉がほとんどない。

まあ、あっても自分でまるごとの兎の肉を調理できるかと言ったらできないワケで。

食べられる機会はいつ来るのやら・・・と思っていたある冬の日。

当時「お兄ちゃん」と呼んで、色々お世話になっていた人が

世界遺産に指定されているヴァルカモニカの渓谷≠ニいうところに車で連れて行ってくれることになり、

もう一人イタリア人(仮名パオロ)のお友達と3人で山の方へと向かった。

もちろん、お昼は、美味しいレストランでどっちゃり食べる。

それはこの3人組ではもう、常識中の常識であった。

その時もまた、お兄ちゃん&パオロのおすすめのレストランへと行く事になった。

そこはまさにもう、地元中の地元人しか来ないような家庭的なところで、

車を止めるところもまるで普通の家の駐車スペースのような。

最初あたしはレストランとは予想できず、まさかここで降りるとは思いもよらないような。

まるで誰かの家のような、まさに!「家庭的」なところへ入った。


そこでは、わたしがメニューよと言わんばかりのおばちゃんに

パオロが注文をし、それをみんなで食べる事にした。

パオロは職業柄、食のプロフェッショナルで

大体注文は彼に任せていた。


そして、期待通り、そこの料理もおいしくて前菜、パスタ共にとっても満足していた。

さあ次はお肉料理が出てきました!

特に何の肉かも気にしていなかったけれど

お兄ちゃんから「食べてみ」と言われ、言われなくても食べるさあと思いながら

パクっと一口食べると、うん、

ちょっと塩っけはあるが、おいしいなーと思っていると

「それ、うさぎの肉だよ」と。

お兄ちゃんの予想・・いや期待?では「ひゃーーー!」と驚いてほしかったのだろうが

あたしの反応はもちろん「おおー!一回食べたかったんだよねー!」

でも、山の方の地域でもないと、やっぱりなかなか兎の肉は食べられないとのこと。


でもでも、それ以来すっかり兎の肉が好きになったあたしは、

どこか別の町に旅をしたら、兎の肉料理を探すようになった。

でもやっぱり、ある程度の都会のレストランでは見つける事が出来ず

今度はいつ食べれるのかなあ、と少し諦めがちになっていた。


それから半年以上も経ったか、

母がイタリアへ遊びに来た時に、サン・ジミニャーノという小田舎に連れて行ってあげる事になり・・

そこは丘の上の小さな小さな町。

期待に胸ふくらませて夜、何となく気にいったレストランへ入り、

メニューを開き「それ」だけを探した・・・と、

あったーーー!!

あたしは母に何も悟られないように

「お肉料理は決めたよ、後何にしようか」と、

特に何も言わず、他の料理も決め、注文。

カメリエレ(ウェイター)にリズム良く、注文をし、最後にあたしは

(もちろんイタリア語で)「うさぎ」とさらっと言い放った。

本当はすんごい長ったらしい名前で、うさぎの肉のなんたらかんたらと書いてあったが

あたしは一言だけ、「うさぎ」と言ったのだが・・・。

カメリエレもさらっと「はい、うさぎね」と伝票に書き込み、

さあ、後はうさぎが来るのを待つだけ。

もうあたしは嬉しくて嬉しくてたまらない。

いざ、期待の兎の肉の料理が来たら、母に何も言わずに味見をさせた。

あたしはにやっとして、「それうはぎの肉だよ」

すると母は、

「えぇぇ〜〜〜〜〜」

むふふふ、期待通り。

だがその直後、あたしたちがしていた会話なんて・・・

「でも、うまいべ?」

「うん、うまいね」