*あかねのイタリア珍プレー*



*あかねのイタリ珍プレー*



球目背後

さて、ルーブル美術館での素晴らしき爆弾騒ぎから一転。

美術館の敷地から外に出ると、朝から相変わらずの晴天。

あたしの激しくどきどきしていた心臓もすっかり治まり、またパリの街を歩き始めた。

地図を片手に、とりあえずセーヌ河を目指す。

セーヌ河も写真を撮りたい所が満載だ。

映画で観た憧れの橋(名前は知らない)、そしてノートルダム寺院!

ガイドブックを見ながら歩いたので、ルーブル美術館からセーヌ河まで辿り着くのは簡単であった。

しかし、あたしの足はもうパンパン。

なにせ、美術館に入るまでに1時間以上並んだ上に

誰もが1日では観て回れないと言うルーブル美術館を

鬼のような眼光と獣のような早足でもって、3時間という驚異的な速さで駆け抜けて来たのだから。

しかし

そんな足の疲れもどこかへいってしまうくらいに、セーヌ河に感動していた。

気温も程よく暖かく、空は真っ青、そこにあるセーヌ河。

たったこれだけの条件で、気持ちが晴れやかになり、生きてきて良かったとまで思わせる。

ああ、これがパリの街なんだ。

そんなイイ気分をひっさげて、あたしはとりあえずお目当ての橋を探す事にした。

とは、いっても。

セーヌ河はとても長く、橋も何本もかかっている。

しかもそのお目当ての橋・・・・特にこれといって大きな特徴がない。

でも、見れば、絶対に、わかるはず!!

その時はなぜか、気分が高揚しているせいか、ものすごく自信満々にそう思っていた。

あたしはセーヌ河沿いをずっと歩いた、一つ一つの橋を見て確認しながら。

まず最初に目についた橋、これっぽいな・・・・と思い、とりあえず橋の中心まで歩いてみる。

その時からだんだんあたしの自信がふやけてきた。

橋からセーヌ河を見下ろしていても、どうにもしっくりこないのだ。

先へ進んでもう一度遠くから見てみるが、どうもそうなようなそうでないような・・・。

もっとしっくりくる橋があるかもしれないと、また歩き始める。

あの自信はどこかへ・・・、もしかしたらわからないかもしれない・・・と思い始めていた。

そこでまた勝手な考え。

「そうか、映画に出るくらいの橋だから、きっとノートルダム寺院の近くにあるんだ!」

勝手にそう思ってしまったあたしは、第二の目的でもある寺院を探した。

地図を見ながら歩いて、歩いて、歩いて・・・・・


おかしい。

あれだけ目立つであろうノートルダム寺院がちっとも見えてこない。

30分前後えんえんと歩いたというのに。

おかしいなあ、確かになかったよなぁ・・・と思い、その時初めてふっと後ろを振り返ってみると。


あった。

それも遥か遠くに。


「うそ・・・」

そう、あたしは全く気づかないまま、ノートルダム寺院をとっくに通り過ぎていたのだ。

なぜだろう??木々に囲まれていて見えなかったのかな??

その時あたしは自分の足があまりに疲れている事にやっと気づいたが、

ノートルダム寺院目指してまたトボトボと歩き始めた。


それもながーーい道のり。

なぜあんな事になったのか未だにわからない・・・。


ちなみに例の橋は寺院の近くのものでは、どうやらなかった。

それっぽい橋は寺院に向かう途中で見つけた。

逆方向から見るとわかりやすかったけれど、

実は今でもあれが本当に探していた橋なのかは・・・

定かではない。